2016-11-04から1日間の記事一覧

野獣死すべし 大薮春彦 ピカレスクロマンの金字塔。

一九五八年発表。この本の影響下、または下敷きにしたフィクションは小説、映画、漫画、アニメ問わず無数にある。ひょっとしたら日本のアンチヒーロー像は今作で確立されたのではないか、そう考えてしまうほど伊達邦彦の存在は苛烈で理想的だ。犯罪小説とし…

「脳」整理法 茂木健一郎 整理法といっても例の世界のコンドーさんのような実践的なものではない。

整理法といっても例の世界のコンドーさんのような実践的なものではない。この本は単なる自己啓発書である。または、作者の哲学エッセイと言い換えてもよいかもしれないタイトルから臨床的な内容を期待していると肩すかしを食らうこと間違いなしだ。ただし、…

TOKYO愛情物語 森瑶子 バブル世代の恋愛

登場人物のほぼ全員が自信たっぷりに生きているのがまず凄い。夜毎気前よくシャンパンの泡が弾けるかのごとき時代の真っ只中はこういう人が多かったのだろう。(と思う)現代に生きる私としては、二十代半ばの女性が行き遅れとプレッシャーを感じる習俗には…

葉桜の季節に君を想うということ 歌野晶午 ネタばれして読むともったいない

実は、今作の最大のネタバレを知ったあとに読んでしまったため、口惜しいが他の人みたいに驚愕できなかった。もし、知っていなければ「ああ、そういうことか!」と驚けたのに、もったいない。 文章は平易で読みやすく、主人公のキャラも熱量も十分。不満だっ…

赤いべべ着せよ… 今邑彩 鬼女伝説が残る田舎で起こった連続殺人事件モノ。

鬼女伝説が残る田舎で起こった連続殺人事件モノ。 推理小説の範疇ではあるが、探偵や警察は出てこないので、誰かが謎や犯人を解きあかしていくタイプの作品ではない。 表題にたがわず不吉な童歌ではじまる冒頭から一気にもっていかれ、余計な描写や展開もな…

帰ってきたヒトラー ティムール・ヴェルメシュ 「狂気のyoutubeヒトラー! 」設定だけで笑える小説はあまりない

設定だけで笑える小説はあまりない。 本作は数少ない例外ではないか。 しかし、残念なことにこの本は風刺小説であってコメディとはかけ離れたものだった。笑える部分よりも、歴史や政治やナチス関連のどうでもいい情報が多く、前半四分の一以降はかったるさ…

スタンフォードの自分を変える教室 ケリー・マクゴニガル 意志の弱さを嘆く人は必読!

自分の経験則として、数年に一度くらいの割合で本当に自分の人生に影響を与えてくれる本と出合うものだが、本書がまさにその一冊となった。 かねてから、私はなぜこうも意志が弱いのだろう、言い訳を捏造し、簡単に誘惑に負けて自分自身を落胆させてしまうの…

女はなぜ突然怒り出すのか? 姫野友美 これは全男子必読の書かもしれない!

なるほどなあ。これは全男子必読の書かもしれない。 男女の脳の違い、ホルモン、生理によって豹変・爆発する女性の体質や精神状態についてわかりやすく書かれている。PMSの知識や、脳の違いといった知識はあっても、こうもまとめて説明されると、少しくら…

演歌の虫 山口洋子 良質な短編が四作おさまった傑作。

良質な短編が四作おさまった傑作。 人間の悲哀やなまぐさい欲望が巧みな筆で描きだされている。作者の嗜好を表したものなのか、いずれも不倫や浮気がテーマ、もしくは発端となっているのは興味深い。 直木賞を受賞した表題作である演歌の虫の出来はあたま一…

ヴァート ジェフヌーン 架空のドラッグ、ヴァートをめぐるスタッシュライダーズたちの物語。

F・K・ディックの著作とニューロマンサーを足したような蠱惑的で幻覚作用の強い世界観が特徴。 元ギタリストである作者は、文学よりも音楽に影響を受けており、作中に散りばめられた様々な造語は曲のタイトルを思い起こさせる。 現実と幻覚が侵食しあった極…