脳を味方につける生き方 苫米地英人 悪夢のような経歴を持つ学者が書いた自己啓発本

一般人からすれば眩暈を通り越して悪夢のような経歴を持つ学者が書いた自己啓発本。ネットでは時々目にする機会があったのだけど、ちゃんとこの人の本を読むのは今回が初めて。 誰にでも読めるよう平易な言葉で綴られ、難しい話や専門用語もなく、文章量も少…

クレージィ・ドクターの回想 なだいなだ どこの病院の入院患者にも自称天皇が数人いる

精神科医兼作家のエッセイ。やや硬めの落ち着きのある文体だが、そこかしこに笑いの種が仕込まれていて、抱腹絶倒とはまではいかないとしても、読書中何度もニヤニヤさせられた。漫画でいうと劇画でコメディをやってるというか、真顔で冗談を言われているよ…

現役東大生だけが知っている!集中力を高める34のルール 集中力や意志力を高めたい人にはおススメできる本

東大生が合格のために実践した集中力を高める方法、息抜き、生活のサイクルを書き出した本。きちんと結果を出した人は十代の頃からこんなことを行っていたのかと、ただただショッポを脱ぐ思いだ。覚悟を持つこと、頭の切り替え、休養の重要さが説かれており…

郵便配達は二度ベルを鳴らす ジェームズ・M.ケイン これはまるでジム・トンプスンの作品みたいじゃないか! 

これはまるでジム・トンプスンの作品みたいじゃないか! 読みはじめてまず気がついたことだ。とぼけた性格と後先考えない無軌道なライフスタイルの語り手が、現状に不満を持つ悪い美人と知りあい、情を交わしたあとに犯罪へ走るプロットはそのまんまだ。いつ…

壁際の名言 唐沢俊一 要約すると

怠惰は堕落ではない、生物としての本能である。 所詮は創作物のなかの魅力と現実の人物の魅力とは別物なのだ。 訂正は話が終わったあとで。 現実のすべてに面と向かおうとする者はまず、振り回されて終わる。 人は他人に褒めてもらいたい動物なのである。 優…

しょっぱいドライブ 大道珠貴 自尊心が極端に低い女性が主人公の短編が三つ

自尊心が極端に低い女性が主人公の短編が三つ。表題作は、港町を舞台に、打算と怠惰と妬みが腐った魚ばかりに悪臭を放つなか、老人と三十路女が気色の悪い馴れ合いをおっぱじめて何となく同棲をはじめる話。二作目はかなり短く、関取と中二少女との性の冒険…

メイド喫茶元オーナーが書いた 女の子の取扱い説明書 ヒロN  肩透かし

元メイド喫茶経営者による女の子のハウツー本。 作者の経歴から偏った女性観を見せつけてくれるのかと思いきや、逆に最初の章で「女の子をひとくくりにするのがそもそも間違い」と真っ当なカウンターパンチを見舞ってくれる。内容に目新しさや膝を打ちたくな…

名もなき毒 宮部みゆき 長い。長すぎる。

読後、凡作という印象しか残らなかった。文章は読みやすいが、作品のテーマと展開を考えると相当に長い。長すぎる。半分、いや三分の一くらいの量でちょうどいいのではないだろうか。暇つぶしを欲している人以外にはすすめられない作品。

極道の妻たち 家田荘子 オヤジ向け漫画の人情ネタ

これまで旦那の陰に隠れてスポットの当たることのなかった極道の女の本音を描いたセンセーショナルな実録物。 岩下志麻の映画も含め、エポックメーキングな作品ではあるけれども、彼女らの生態が知れ渡った現在となってはオヤジ向け漫画の人情ネタ程度の読み…

南回帰線 ヘンリー・ミラー 普通の本しか読まない人ならば読破を諦めて本を閉じてしまうのではないだろうか

セリーヌの某作みたいな陰鬱な愚痴をひたすら吐きつづけるスタイルは読む人を選ぶに違いない。上巻の中盤以降、バロウズの裸のランチを髣髴させる性的でファンシーな描写が増える頃には、普通の本しか読まない人ならば読破を諦めて本を閉じてしまうのではな…

書く人はここで躓く―作家が明かす小説作法 宮原昭夫 評判にたがわぬ名著

評判にたがわぬ名著。どのページにも発見があって目から鱗がポロポロ落ちていった。文章は読みやすく、各トピックが短く分けられているため少しずつ読みすすめることも可能だ。私は、技術以前にまず心構えと準備が足りていなかったのだと強く気づかされた。…

抱け、そして撃て 勝目梓 濃厚なセックスと陰惨なリンチの説明にページの大半を割いた作品

元殺し屋が狙撃される場面から始まる。畜生一匹と赤の他人の女の子が犠牲になった。過去に四人も殺めた殺し屋が命がけの復讐に走る理由としては軽すぎる。だが、男は変態的な復讐心を燃やし、ラストまで凶行へとひた走るのだ。最後に殺した相手は政界の寝業…

蛇を踏む 川上弘美 今年読んだ本の中で一番つまらなかった作品

今年読んだ本の中で一番つまらなかった作品。ホラーでも幻想文学でもナンセンスでも風刺文学でもないただの教訓のない寓話。これで芥川賞とは。

ぼくは落ち着きがない 長嶋有 まともな人だけしか出てこないのが逆に凄い

図書部員のちょっとした日常を取上げただけの殆ど何も起こらない話。文学作品には珍しく、まともな人だけしか出てこないのが逆に凄い。学生が主役だからといってラノベのようなエンタメを期待している人にはちょっと不向きかもしれない。名作でもないけど、…

ビリーがいた夏 喜多嶋隆 トラブルが起きたときは毎回知り合いがやってきて助けてくれるタイミングの良さに苦笑

親友の中絶費用のために盗みをしようとするところから物語は始まる。企みは失敗するが、その縁でアメリカ軍人のサックス吹きであるフレディと交流が始まる。湘はフレディから引き継いだサックスを港や堤防で吹く。最初のファンはなんとクジラ。 話を煩雑にし…

塀の中の懲りない面々 安部譲二 刑務所には絶対に行きたくない

映画が思いのほか面白かったので原作も読んでみることにした。 元ヤクザの作者は軽妙かつ丁寧な説話体の文章でテンポよく語っていく。落語やラジオのようなノリに近い。内容はどの刑務所の体験記にもあるものばかりだ。飯、ヤクザと看守、囚人と刑務所の慣習…

27 原田宗典 この内容で女性誌連載とは恐れ入る

ざっくばらんな文章で読者を面白がらせたいという書き方をしている。プロの小説家としては珍しいアプローチだ。この方法では露骨に笑わせようとする魂胆が透けてしまい、みじめな結果になりかねないからだ。どこどこに行った、観た、した、という外に経験を…

禁酒セラピー アレン・カー 私は酒を止める気もなければ酒に利点がないという作者の主張にも同意しかねる

日常生活に支障が出るほどの重篤なアルコール中毒者ではないとしても、二日酔いの朝は厭世観にとらわれることがある。 健康志向が定着した現代、禁煙者は確実に減ってきてはいるが、アルコールを嗜む人はあまり減っていない気がする。飲酒運転の罰則が厳しく…

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 米原万里 ロシア語同時通訳者による学生時代の回想プラス当時の知人を訪ねていくプロット

ロシア語同時通訳者による学生時代の回想プラス当時の知人を訪ねていくプロット。 普通の人は外国の共産主義の学校に通う特異な体験をまず知ることができないだろうから、その観点からも貴重な本だ。 この本は、小説ではなくエッセイの範疇にあるものだから…

ボルネオホテル 景山民夫 内容が軽く、平たく言えば駄作に出来だった

物語はハードシチュエーションな南国の古いホテルが舞台であり、プロローグや従業員の態度からもいわく付きの建物であることがあかされている。お化け屋敷と幽霊退治の作品なのだが、内容が軽く、平たく言えば駄作に出来だった。安っぽい八十年代のホラー映…

GO 金城一紀 九十年代後半に生きる高校生カップルに作者の趣味をあてがってしまうのはどうかと

在日の高校生を主役にしたぶっちぎりの青春小説。漫画のように分かりやすい特徴をもったキャラクターたちが生き生きと描かれた前評判通りのとびきりポップな作品だった。特に、ヒロインとの出会いの場面は情景が目に浮かんでくるほど秀逸。 ただ、どうしても…

ミカ!  伊藤たかみ 小学生の視点から書かれた小説は久しぶりに読んだかもしれない

タイトルは主役であるユウスケの双子の片割れから。 小学生の視点から書かれた小説は久しぶりに読んだかもしれない。大人が書く子供は、どこかで作者の地が出てきて見苦しいものだが、素晴らしいことにこの本は最後まで小学生らしい思考と言葉遣いで進んでく…

名のない男 大藪春彦 ハードボイルドというか俺強ぇぇぇー!系のエンタメ

ハードボイルドというか俺強ぇぇぇー!系のエンタメ。 潜入捜査官というわりには大胆で無計画な暴力を発散し、組織をメチャクチャにするプロットばかり。 上司からの命令がくだり新しい街でトラブルを起す。ヤクザをコテンパンにノシて取り入って最後は警察…

ヴィジュアル版 UMA生態図鑑 並木伸一郎 この手のいかがわしい図鑑には目がない

私は子供のときから未確認動物、幽霊、UFOといったうさんくさいもの大好きだった。いい大人となったいまでも、この手のいかがわしい図鑑には目がない。 言うまでもなく、これはエンタメだ。世に喧伝される正体不明の存在の九割九分九厘はインチキか見間違い…

私生活 神吉拓郎 酸いも甘いも噛みわけた大人の短編集

酸いも甘いも噛みわけた……という言葉が出てくる大人の短編集。 各主人公は若くても三十代で、だいたいは初老にさしかかろうかという年代である。 小説にありがちなドラマチックな展開はあえて控えているようで、誰の日常にも起こりそうなちょっといつもと違…

読んだつもりで終わらせない 名著の読書術 樋口裕一  国語の授業でもこういう実のある教え方をすれば読書好きが増えるに違いない

素晴らしい指南書。文学作品、特に海外の古典文学に挫折した人には読んで欲しい一冊だ。 こころ、罪と罰、人間失格、変身といったキャッチーな有名作の読書ポイントと手の抜き方をすこぶるわかりやすく説明してくれる。 読みどころは全部と言っても大げさで…

朝は死んでいた 梶山季之 推理小説を読むたびに思うことだが、簡単な理由で人は人を殺すものだ

オーソドックスな殺人事件解決物。 事件を解決へ導くのは週刊誌の記者2人で、警察は犯人逮捕の時まではほぼ役立たず状態だ。作品の核となるトリックはすこしも珍しくはないものの、発表された時代が時代だけに(約60年前)後出しジャンケンのような評価は下…

鼻 曽根圭介 懐かしの世にも奇妙な物語に近いテイスト

良質な短編が三作収録。三つとも不条理なラストで終わっている。懐かしの世にも奇妙な物語に近いテイストだ。ホラーというジャンルはハッピーエンドよりもバッドエンドを求めてしまうものなので、個人的には歓迎したい締め方ではある。賞をとった表題作の『…

わが坐禅修行記 横尾忠則 有名グラフィックデザイナーによる座禅本

有名グラフィックデザイナーによる座禅本。アクの強い作者の画風にはファンが多く、現代ビートミュージックの雄、Flying LotusのアルバムYou're Dead!の完璧にイってしまっているジャケを手がけたのも記憶に新しい。 さて、この本は40年も前のものだ。ヒッピ…

素晴らしい一日 平安寿子 ほろ苦さと微妙な甘さを孕んだ好短編

登場人物の性格や会話から瑞々しさや勢いがほとんど感じられないのは、ある程度年齢がいった人のデビュー作だからだろうか。全体的に起伏の少ないストーリーは読み手を選ぶかもしれないけど、ほろ苦さと微妙な甘さを孕んだ好短編が六作おさめられていて、私…

誰でもできるストーリー式記憶法 山口真由 内容を要約すると

人間は意味を求める生き物。 無意味な物語すら自動再生しようとする力が働く。 規則性を見つけて標準化する。 自分が経験した順番、時系列で覚える。 記憶には濃淡が必要。 エピソード記憶はインパクトで覚える。 記憶喚起材として読み返す日記は感情をまじ…

ロッカーズ 川島誠 作者があえて紋切り型にしたのかと深読みしてしまう

古いというよりは、ありきたりなロック小説。 出会い、飛翔、倦怠、終末へとよどみなく向うプロットは、作者があえて紋切り型にしたのかと深読みしてしまうほど完璧に予定調和なものだが、考えてみればロックバンドの大半はその流れで解散するものであるから…

裏ワザ超全集 この程度の内容をわざわざ本にする超弩級の厚顔ぶりに脱帽だ!

この程度の内容をわざわざ本にする超弩級の厚顔ぶりに脱帽だ! 徹頭徹尾使えない情報しかなくて読み手のこちらが赤面して恥じ入ってしまうほど低レベル。おそらく、編集と執筆にたずさわった人たちは2ちゃんや携帯サイトを元ネタにしたのではないだろうか。…

アシッドハウス アーヴィンウェルシュ 現代英文学の重要作家の初期短編集

現代英文学の重要作家の初期短編集。世界的に大ヒットした前作ほどポップでもなく、絵になるキャラクターやぶち切れまくった爽快感もないが、作風の多彩さだけは今作に軍配があがる。アイデア勝負のSFチックな仕掛けを持つものも見受けられ、そのうちの二…

無印不倫物語 群ようこ 頭を使いたくないときの読書に重宝する作家の一人

平易な文章とゆるい作風のため、頭を使いたくないときの読書に重宝する作家の一人。ぱっと思いつきで書いたような深みも心の機微も感じられない四方山話ばかりだが、この作家には元々そんなものは期待していない。 今作は、周囲の人の不倫に対してそこはかと…

墓に唾をかけろ ボリス・ヴィアン 軽薄な若者たちの性的衝動  

軽薄な若者たちの性的衝動が物語の大部分。自己紹介的な冒頭後、主人公がグループのメンバーと最初に顔を合わす場面は映画KIDSが想起された。酒と女の子に戯れているが、麻薬や強盗を嗜まない分、まだ可愛げがある。 主人公には仕事があり、遊び歩ける金…

小説の秘密をめぐる十二章 河野多恵子 ババアは大正十五年生まれの八十八歳で往生した

読むほどに作者の物言いに反発したくなるような気分が生まれた。有名な小説家先生だとしても、ずいぶん独断的な意見が多いと不快になったのだ。 いったいどんな本を書いてやがるのか、とググッてみると、作者の年齢と一年前に死亡している情報を知った。ババ…

ニューロマンサー ウィリアム・ギブスン いつかの再読を誓い、読了

アイロニーのきいた文章は好みだし、各登場人物の造型も素晴らしい。方向性は違うものの、レーモン・ルーセルのロクス・ソルスのように想像力を駆使して描き出された電脳世界は完全に時代を先取りした刺激的なものだ。 しかし、現実と電脳世界で起こった出来…

オクターヴ 田口ランディ 音楽と夢と幻覚が交叉する幻想的なサスペンス

神の島で名高いバリ島を舞台に、音楽と夢と幻覚が交叉する幻想的なサスペンス。タイトル通り、音楽が重要な位置を占めた作品だ。西洋音階に縛られないガムランの響きと、凶暴なまでに生い茂るジャングル、極彩色の鳥などが目に浮かぶ濃密な描写からは温度を…

ぼくと、ぼくらの夏 樋口有介 凡作

ライトノベルのような文章ではあるけれど、魔法も宇宙人も出てこない普通の殺人事件の話だ。主人公の造型は既視感がありすぎてイラついてくる。話自体も目新しさはなく、ひっかかりが殆どないまますんなりと進む。 ミステリを楽しむというよりは、夏と学生時…

君の膵臓をたべたい 住野よる 改行の多い感情過多なラストの語りは増長

うーむ。私の心が汚れきっているからだろう、泣けなかった。さあ泣かせてもらうか! と気を入れて読んでいたというのに、改行の多い感情過多なラストの語りは増長で、壊れた主人公の自己啓発本のような語りに興ざめをしてしまった。 しかしながら、青春小説…

マンガでわかる男が知るべき女のカラダ 本当に正しい知識で女性を理解する 河野美香  私はエロ目的でこの本を手にとった

健全な異性愛者の男子として当たり前のことではあるが、私はエロ目的でこの本を手にとった。圧倒的大多数の購買者がそうではないだろうか。 かわいらしい絵のキャラクタたちが自虐とツッコミをまぜまぜキャッチーに女体を解説してくれる。コミカライズみたい…

魔女街 半村良 サービス精神から書かれたものだと推測できる

中篇が二作と短編が四作。 中篇は男の妄想をたれ流した乱交モノ。 物語の歯車が動きだすと、あれよあれよと金と色が主人公へ注がれだしてそれまでの単調な生活が一変し、獰猛な狩人へて変貌していく。メインの読者層である中年男性に何だか儲かったような気…

君と会えたから・・・ 喜多川泰 無気力な若者が美少女と知り合って再生と飛翔へ向けた道をたどる……それだけだ。

話の筋自体は今までに百万回は繰り返され、今後も無限に繰り返されるであろうものだ。 無気力な若者が美少女と知り合って再生と飛翔へ向けた道をたどる……それだけだ。 逆説的だが、ラストも読者の期待通りの展開で落ちつくことになる。この本の優位性は、読…

幽霊心理学 赤川次郎 この作家の圧倒的な読みやすさは一体なんなのだろう

この作家の圧倒的な読みやすさは一体なんなのだろう。 肝心の作品自体にはからっきし魅力を感じられないというのに、ただただこの特異な(個人的にだが)読書体験を味わうためだけに赤川次郎の本を手にとってしまっている。文章は平易きわまりないのに、稚拙…

ポニー・テールは、ふり向かない 喜多嶋隆 これぞ八十年代なタイトル

ドラムスティックを振り回すロコガールの青春音楽小説。 傷害で収監された十五歳の主人公が刑期を終え、出所する場面から話は始まる。主役が若い女の子なのにボーカルではなく、ドラム担当なのが新鮮だ。腕利きのメンバーを集めていく過程はそれぞれエピソー…

幸荘物語 花村萬月 作者の感性が七十年代のままで止まっている

見事なまでに作者の感性が七十年代のままで止まっているため、舞台とキャラクターの設定が相当に古い。 大昔に書かれたライ麦や路上の感性は現代でも有効だというのに、この作品の駄目さ加減はなんなんだろう。 読むのが辛くなるような本ではない。文体も後…

ハックルベリイ・フィンの冒険 マーク・トウェイン トムソーヤよりもずっとハードな冒険

オリジナルであるトムソーヤよりも、ハックはずっとハードな冒険をしている。お人よしのニガー(当時の黒人奴隷の名称であり、現代ほど差別的な意味合いのある呼び名ではない)の逃亡を助ける大きな目的がハックにはあって、彼らはいかだで河を下り続ける。 …

プラナリア 山本文緒 どの作品も大切な人間を失ってしまうちょっと苦めの物語となっている

短編が五作。どの作品も大切な人間を失ってしまうちょっと苦めの物語となっている。特にタイトル作に顕著だが、皆、親しい人から性格や環境の"ねじれ"を指摘され、当人も大いに自覚しているものの改めることができないでいる。 ハッピーエンドらしきものは最…

O・ヘンリ短編集 O・ヘンリ オー・ヘンリーは作家になる前は刑務所に服役していた

およそ百年前の世相とはいえ、根底にあるのはいつの世でも変わらぬ人の想いであったり、シニカルで教訓的なエピソードの数々。あの本も、あの映画も、あの漫画もこれらの作品が元ネタなんだろうな、と読みながら感じることができた。 意外だったのは、オー・…