技巧的生活 吉行淳之介 不熟な恋物語が幻想的に歩みだす美しい冒頭に魅かれて読みだしたが……

不熟な恋物語が幻想的に歩みだす美しい冒頭に魅かれて読みだした。

短い章立てがいくつか過ぎると、あれよあれよと文体も趣も異なってきて、いつしか生臭い性の冒険譚として機能していた。

恋に破れた主人公の心理描写が綿々と綴られ、ある女性のショックシーン以外はまさに淡々と形容したくなるほどあっさり物語は前進する。洒脱な会話は長く続かず、店がひけてから連れ込み旅館に突撃して自己嫌悪や失望を味わうプロットばかりなのは飽きがくるところ。

恋愛や性よりも対面や人間関係ばかりを気にかける女性主人公のキャラクタは珍しいといえば珍しいものか。