小説の秘密をめぐる十二章 河野多恵子 ババアは大正十五年生まれの八十八歳で往生した

読むほどに作者の物言いに反発したくなるような気分が生まれた。有名な小説家先生だとしても、ずいぶん独断的な意見が多いと不快になったのだ。

いったいどんな本を書いてやがるのか、とググッてみると、作者の年齢と一年前に死亡している情報を知った。ババアは大正十五年生まれの八十八歳で往生した。この世代の人ならこういう書き方もしてもおかしくない。

書き手の正体がわかったところで、読書速度は増していった。読了したときは、作者の文章力に嫉妬していた。ここまで強靭で的確な言葉を繰りだせる人はなかなかいないのではないだろうか。