笑ってケツカッチン  阿川佐和子 子供や孫に囲まれた生活の空想を披露している回があるが、そこだけは寒気がするほど切ない

有名作家を父親に持つコメンテーター、知的でいつまでも可憐な雰囲気を失わない稀有な女性。これが本を読む前に作者に持っていたイメージ。内容もそこから大きく逸脱しない。自身の思い出や家族の話題を中心に、自虐と暖かな諧謔を散りばめながら綴られる。執筆当時すでに三十路に入っていた作者は現在も独身らしい。見合いを何十回もしているが還暦を越えた今も結局決まらなかったのは、やはり本人の理想が高かったからだろうか。作品の中に、子供や孫に囲まれた生活の空想を披露している回があるが、そこだけは寒気がするほど切ないのである。